【幼児教育】2026年度スタート「こども誰でも通園制度」—家庭と保育をつなぐ新しい入口
幼児教育や発達に関する話題を幅広い情報を基にご紹介します。
肩の力を抜いて楽しめるエッセイになればいいなと思います。
こども誰でも通園制度とは何か
保育の現場では、「少しだけ息がつける時間がほしい」と言葉を選びながら話してくださる保護者に出会います。
その「少し」を制度として支えるのが、2026年度から全国で始まる「こども誰でも通園制度」です。
こども家庭庁は、就労要件を問わず、月の一定時間までの制限を設け、時間単位などで柔軟に利用できる「新たな通園給付」であると説明しています。
2025年度に地域子ども・子育て支援事業として制度化され、2026年度から全国の自治体で実施されますが、その準備段階の整理として、2025年8月31日時点で「259自治体が実施予定」「166自治体で事業が開始」、利用可能時間は「10h」、利用料は「1時間300円を標準」と示されていました。
この制度のいちばん大きな特徴は、「働いている・いない」に関係なく、子どもが園という場を利用できる点です。
自治体や施設の体制に合わせて、時間単位など柔軟な形での利用が想定されています。
利用できる時間の上限や料金は、国が目安を示しつつ、実際の運用は自治体ごとに差が出ます。
まずはお住まいの自治体の案内を確認することが、いちばん確実な第一歩になります。
なぜ今、この制度が注目されているのか
子育ては喜びが大きい一方で、毎日が「待ったなし」で続く、体力勝負の面もあります。
頼れる人が近くにいない家庭も増え、短時間でも“安心して預けられる先”があることは、暮らしの支えになりやすいです。
さらに、家庭だけで抱え込まず、園という専門職の目とことばが入ることで、心配ごとが早めに整理されることもあります。
この制度が広がると、「困ったときだけ、少しだけ」という利用が現実的になります。
保護者にとっては、休息や通院、仕事探し、きょうだい対応など、生活を立て直す時間がつくれます。
子どもにとっても、家庭とは違う環境に触れ、先生や同年代の子と過ごす経験が、世界をそっと広げるきっかけになります。
研究から見えるその効果とは
ここはとても大事なので、少し丁寧に説明します。
「だれでも利用できる保育」が導入されると聞くと、それだけで全員に同じような良い効果が出るように感じるかもしれません。
けれど研究では、効果が出方は一様ではなく、結果が分かれることも報告されています。
その理由はシンプルで、子どもと家庭の条件が一人ひとり違うからです。
年齢、家庭の状況、利用時間の長さ、慣れるまでの進め方、園の受け入れ体制などが組み合わさり、影響が変わります。
つまり「制度があること」よりも、「どんな形で使われたか」「どんな環境で過ごしたか」が結果を左右しやすい、ということです。
一方で、たくさんの研究をまとめて見た分析では、幼児教育・保育の“質”が高いほど、子どもの社会情緒面に良い関連が見られる傾向が示されています。
社会情緒面というのは、気持ちの落ち着き、切り替え、人とのやりとり、困ったときに助けを求める力など、日常の土台になる部分です。
ここでいう“質”は、特別な教材があるかどうかより、先生が子どもの気持ちを受け止め、言葉を添え、生活や遊びを丁寧に組み立て、安心できる関係をつくれているか、というところに表れます。
だからこそ、利用のしやすさと同じくらい、「安心して過ごせる関わりと環境があるか」を見て選ぶことが大切になります。
初めて利用するときに、家庭でできる小さな準備
最初から長時間にしなくても大丈夫です。
まずは見学で、玄関の雰囲気や先生の声かけを感じてみてください。
次に、短い利用から始めて、「同じ先生に会う」を重ねると、子どもは見通しを持ちやすくなります。
持ち物は最小限にして、家で使っているものを少し入れると、安心材料になります。
お迎えのあとに大切なのは、細かく聞き出すことより、「会えたね」「行けたね」と、できたことを静かに言葉にして終えることです。
園選びで見ておきたいポイント
見学や説明の場で、次のポイントを意識すると判断しやすくなります。
先生が子どもの目線まで下りて話しているかどうかを見てください。
泣いている子への対応が、急がせるより落ち着かせる方向になっているかを見てください。
短時間利用の子に対しても、慣れる手順や引き継ぎの説明が具体的かを聞いてみてください。
「できる・できない」だけでなく、代替案を一緒に考えてくれる園は、利用後も安心につながりやすいです。
そしてこれはとっても大切なポイントなのですが、園見学に行って室内に入ったときに、どんな声が聞こえてくるかを意識してみてください。
子どもたちの元気な声が聞こえているのか、先生たちの声がやたらと聞こえてくるのか。
これは現場を知る者としての経験上、先生たちの声ばかりが響いている園はあまりお勧めできません。
大きな声を出さなくても保育はできます。
子どもたちにはちゃんと伝わります。
当日の不安を減らすためのコツ
初回は、行きも帰りも少し余裕を持った時間にします。
子どもの体調が崩れやすい時期は、無理に予定を詰めないほうが結果的にうまくいきます。
連絡帳や口頭の引き継ぎでは、「家で落ち着く方法」と「最近の睡眠や食事の様子」だけでも共有できると、園側が支えやすくなります。
慣れ方は一直線ではないので、行けた日があるのに次の日に泣く、という波も自然な反応として受け止めてあげてくださいね。
制度を“安心につなげる”ために
こども誰でも通園制度は、家庭を支える新しい入口になり得る制度です。
ただ、効果は「利用できること」だけで決まるのではなく、子どもが安心できる関わりと環境の中で過ごせるかどうかが、とても大きく関係します。
短時間からでも、丁寧に始めれば、園は家庭の味方になれます。
必要なときに必要な分だけ、子どものペースを真ん中に置きながら、上手に活用していけるといいですね。
とはいえ深刻な保育士不足により、受け入れ側の保育現場からは不安の声が大きくなる一方であることも事実です。
いずれにしても、「子どものペースを真ん中に置く」という考えのもとで、今後もこの制度が議論され、良い方向へ広がっていくことを願います。